※「あまりマジによまないでホ・シ・イ・ゼ!」(ロックスターのジャガーより)

夢の内容

 夢の中で佐藤聖子はすでに何度かの挫折を経て、少し生きることに疲れてきたような表情だった。私が初めて彼女が所属する事務所に電話をかけて、スケジュールを尋ねたとき、たまたま居合わせた彼女が気前よく電話口に出て、短い言葉のやり取りをしたときの、あの、なにもかもがうまくいくはずだという自信に溢れ、幸せとはなんなのか、そんな問いを待つまでもなく、今私が必死にかみ殺してこらえているものよ、と答えてのけそうなはしゃいだ明るさはなかった。
 彼女の横の座席には彼女と年齢の近そうな──デビュー当時の彼女から見たら一回りほど上の──男が座っていた。彼は彼女のデビューから活動初期にかけて、彼女に最も多く曲を提供した作曲家の名前を出してなにか説得していた。
 彼女もときには、流れては消えていく窓の外の景色に目を向けようともせずに、ただ物憂げにうつむいてばかりいることが昔からあったかもしれない。それはたしかに想像に難いことだが、とても自然なことだろう。ただ、問題は今、彼女の歌声にかつての、たった十年余り前の輝きとみずみずしさがないということだ。そのことを哀しむ者なら誰もが、間瀬憲治の名を耳にしたとたん、目に希望の灯が灯るのではないだろうか──浜辺のバルコニーにたたずむ彼女、夕映えに浮かび上がったシルエット、ヴァイオレットブルーに染まったあの横顔、長いまつ毛──様々な映像が私の脳裏に時のうつろいを越えて鮮やかにフラッシュバックした。
 そんなしばしの追憶から醒めると、彼女の横のマネージャーらしき男、辰巳琢郎の説得はまだ続いていた・・・

1995年に加えた分析と決意(笑)

 僕はどうしてよりによってこんな夢をみたのだろう。彼女の声はあんなにも明るく軽やかなのに・・・そう、たしかに彼女の歌声はあまりにせつない。明るい恋の歌でさえも僕の胸を絞めつける。気がつくと僕はため息ばかりついていてあわてて深呼吸をする。そんな日々の中で忘れかけていた恋の感覚がよみがえる。
 これほどまでに彼女の歌に魅せられてしまった僕が、彼女の歌の哀感を彼女自身に投影してしまったというのだろうか。それとも、どんな挫折に遭おうとも乗り越えて歌い続ける彼女の姿を先回りして目にしたかったのか。
 答は出ない。だが、自分の感受性についてこれ以上悩むのはくだらないことだ。
 佐藤聖子は現に今、すばらしい輝きを放っているのだから。佐藤聖子の歌声とともに過ごすことができるこの一瞬一瞬を大切にすればいいのだ。僕はただ、彼女が与えてくれるすてきな「Heartbeats Groove」と永遠に「一緒にいよう」と思う。
 十年後も今と変わらぬ"をかしき"笑みをほころばせて、僕の心の影を照らしてくれることを期待しながら。

おことわり

 基本的にこの「豹悟郎夢日記」は新しく見た夢を書いていこうと思っているのですが、6月に見た夢があまりにむごたらしいものだったので、頭の中での整理が難しくて発表がまだできません。そこで私のMacintoshの「佐藤聖子関連」というフォルダの中に眠っていた文章を引っぱり出してきました。
 それから特に言っておきますが、夢の中の「私」が抱えている状況は現実とは違いますので、よろしくお願いしますね。聖子ファンのみなさん(^^;「私が初めて彼女が所属する事務所に電話をかけて、スケジュールを尋ねたとき、たまたま居合わせた彼女が気前よく電話口に出て、短い言葉のやり取りをした」というのは実際にあったことではありません。Uncle-Fへの電話は今年の5月にかけたのが初めてで、そのときはマネージャーの下村さんが出ました(爆笑)。
 また、聖子さんの歌も今では大分落ち着いて聴くことができますので、ご心配なく。

1996.08.29

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